開催報告になってしまいました。申し訳ございません。
今回は新規出品者も増え、充実した展示になりました。来場者も増え、ユニークな展示内容だとかクオリティが上がった、また大きな作品が多く力作で見応えがあったなど高い評価をいただきました。今回も秋季展で開催している小品コーナーを設けましたが、充実した作品が並びました。
「2024 汎美展」 開催のご挨拶
汎美術協会 代表 中西 祥司
戦前、日本の美術界も官展を頂点に権力機構が整備・強化され、戦争へのベクトルが動き出した。昭和8年(1933年)汎美術協会は「階層性を廃し、自由な表現と発表の場を創設する」ことを目指して美術運動を開始しました。
会の基本方針は、フランスの『アンデパンダン展』に学び、「すべての作家は平等である」との考えから、展覧会は「無鑑査・無審査」、作品をランク付ける文科大臣賞も汎美賞も有りません。さらに展示位置はくじで決定するなど、公平性を重視した独特の運営体制で展覧会を開催してきました。現在もその理念を大切にして美術活動を継続しています。
定義できないのが現代美術と言われるくらいに現代美術は変貌し拡散し続けています。汎美は変貌する現在の多様なテーマ、多様な美術表現を大切にする同時代性の展覧会を目指します。
相対評価はありませんが、相互批評を大切にし、外から石を投げこんでもえる様な講評会も開催し、切磋琢磨の場をいろいろと提供しています。
また、表現の可能性を拡大する試みとして、アートと音楽のコラボ企画を実施しています。国際的な美術交流を目指し、今年6月には汎美ベルギー展(ブリュッセル)を開催します。海外からの出品もさらに進めていきたいと考えています。
汎美術協会は、これからも自由な表現と自由な発表の場としての展覧会を開催するとともに、汎美の理念を堅持しつつ、さらなる美術活動を積極的に展開していきたいと考えています。いろいろな公募展が開催されていますが、それらとは一味違うユニークな汎美展を楽しんでいただければ幸いです。
今回の私の出品作「分断から再生へ」(左右300×天地280㎝)。
制作にあたって、ジェノサイド・虐殺ではと思われるイスラエル軍のパレスチナ市民に対する攻撃は悲惨すぎる。建物が崩れ、街が破壊されていく。家を失い街を失い、戦火を逃れようと難民化する。最近のニュースでは、幼い子供が食べる物もなく栄養失調で死んでいる餓死していると。イスラエルが救援物資の輸送を認めないがためだ。
終わりの見えないロシアのウクライナ侵略戦争も3年目を迎えた。
宗教や文化、民族、人種、ジェンダー、経済や貧富、教育、デジタル化などなど分断と対立を深め、修復や解決への道筋が困難になりつつある世界。終末時計は時の刻みを早めたと。
憎しみの連鎖が増幅し、難民が増大し、不幸な人々の拡大再生産によってより一層世界を不安定化させている。そんな世界の再生、普通の日常を取り戻すことを祈りつつ、制作しました。完成は搬入日の午前3時でした。
下は小品コーナーへの出品作。再生1,2 です。