初日にご来場頂いた堀浩哉氏(多摩美大名誉教授),千葉成夫氏(美術評論家),
中西祥司 (左から)
コロナ禍にも拘らず、多くの皆様にご来場いただき、ありがとうございました。お陰様で、活気のある、エネルギー溢れる展覧会になったと出品者一同、感謝しております。
今回の展覧会は、現在から将来に向けての自分の取り組みを表していくことをコンセプトにし、来年への期待を抱かせるものにしよう、元気を共有できるものにしようというようなことを考えました。多くの来場者に共感して頂き、開催して良かったと実感することができました。
滅びの兆し
私の出品作「滅びの兆し」は、安倍前首相の唐突な全国学校一斉休校の新型コロナ対策のため、国立新美術館が急遽休館し、中止になった2020 汎美展に出品予定の作品でした。その時のテキストを下記に掲載します。
「滅びの兆し」 連作 No.12~17 2020年3月4日
今、日本、何を目指しているのだろうか?何が行われているのだろうか?
日本の民主主義が壊れかかっている。資本主義の歪みが社会を壊す。多くのことが経済的価値、金銭的利益に変換され、私利私欲、大企業など一部の人々の利益優先になっている。その結果、多くの人々の生活や幸福度が犠牲になっている。
多くの国民が望む社会、普通の生活を維持、平和に暮らしていけることを実現するために、政治はやっているのか?
社会の階層化は益々進み、上下の2極化が進んでいる。経済格差、教育格差、司法格差などなど。原発の問題、辺野古基地建設。日本の民主主義が「滅ぶ兆し」を超えて、「滅び始め」ている。
日本の多くの主要メディアがチェック機能を失い、その実態を国民が知ることが難しい。記録が隠蔽される、改竄される、捨てられる。知らされず、知ることができず、様々なことが表に表れず、水面下で進行している。
日本の今をもっと視、知る必要がある。国民の知性、理性がないがしろにされ、強欲な者たちの利益の追求を図るために、法律が出来、予算が組まれ税金が使われる。社会を構成する重要な役割を担う国民が犠牲になっていると思えてならない。
民主主義が機能不全に陥っている。いろいろな事象が、日本が「滅んでいく兆し」から「滅び始まり」の現象として表れてきている。
また、地球温暖化が原因と考えられる現象が直接的に人々の生活の脅威となってきている。今までに経験したことのない大きな災害、その頻度。プラスチックごみ、原発のリスクの問題。また、食糧や水の問題。それが我々の放漫・豊満な生活の結果であるのであれば、現在、生きている我々が問題を共有し、解決する必要があると思う。
そのような考え、思いが頭を駆け巡る中、制作しました。
5,6年前から続けていることですが、象徴的な日本、象徴的な地球をモチーフに日常的に感じている思いを表現してみました。
今回、制作中に感じていた状況は「滅びの兆し」ではなく、「滅びの始まり」ではないかと思いました。(終)
キャンバスの表裏に描いた作品「滅びの始まり」は、延期になった6月に開催予定だった「汎美ベルギー展」への出品を予定していました。
ドローイング「魂に飛び込む光たち」は昨年末から100枚のドローイングを制作しようと取り組んだものです。100枚目は12月7日に出来上がりました。オイルパステルなどで白い画用紙や色画用紙に描きました。抽象ですが、かなり具象的なものから心象風景まで、その時々の心の赴くままの展開になりました。100枚の中から、新しいものを中心に50枚展示しました。
参加作家;小杉和美、中村加代、青染レイコ、中西祥司