汎美術協会 代表 中西祥司
汎美術協会は昭和8年に設立され、翌9年に第一回展を開催、以来約90年に亘り活動してきました。 設立時の名称は『新興独立美術協会』,既に独立美術協会があり、それには満足出来ない主張があったのだと思います。
戦前、様々な面で統制が強まり、美術界も官展を頂点に権力機構が整備・強化される中、汎美は階層性を廃した「自由な表現の発表の場」を目指して美術運動を開始しました。 会の基本方針は、フランスの『アンデパンダン展』に学び、「すべての作家は平等である」との考えから、展覧会は「無鑑査・無審査」、作品をランク付ける賞も有りません。
さらに籤で作品の展示位置を決定するなど、公平性を重視した独特の展覧会を開催してきました。 それは設立以来、現在に至るまで受け継がれています。 長い歴史の中では、展覧会が開催出来ない年、戦後しばらくの間は運営の担い手が無く、本展が開けない時期も有りました。
1975年、汎美の理念に共感する仲間が集まり汎美を再興、以来発展を続け国立新美術館での本展と東京都美術館での秋季展を開催し、昨年ついに本展は60回を数えました。 長きに亘る汎美の歴史̶頑張って来られた先輩諸氏と皆様のご支援があって現在が有ると実感しております。 今展覧会におきましても開催にご協力頂きました関係各位に改めて厚く御礼申し上げます。
現代美術は常に変貌し拡散し続けています。 これからも、そのような現代美術の自由な表現とその発表の場として、汎美の理念を堅持し、さらなる発展に寄与したいと思います。
ご来場・ご高覧宜しくお願いします。

