1933年(昭和8年)、汎美術協会は、権威主義的な階層性や恣意的な審査制度を否定し、すべての作家は対等に立つべきとの理念に根差し、独創的な創造と表現のための、自由な発表と交流の場を作ることを通じて、内容豊かな芸術文化の発展と開花に寄与することを目的として、設立されました。
1935年には第2回展を東京都美術館で開催しましたが、フランスのアンデパンダン展を基礎に論議を重ね、作品の審査・監査のない公募推薦制を取り入れました。
設立当時の理念を受け継ぎ、現在も「公平・平等・自由な展覧会」を目指しています。作品の種別や手法、大きさも種々、様々で、パフォーマンスもありました。他の公募展では見られないコンパクトで変化に富み、ユニークでダイナミックな展覧会になったと思います。
今回は多摩美術大学絵画科名誉教授の堀浩哉の「講評」「講演会」を開催しました。作家個々それぞれの到達点の合わせ、そこからの課題解決に繋がるような内容でした。講評を受けた作家は勿論、他人の講評を聞くことが面白く参考になったという感想がありました。春の汎美展でも開催したいと思います。
私の出品作は「不確かな明日へ」と「地球からの知らせ」の2点です。
今を取り巻く世界や日本の自然や環境、民主主義の現状は、世界的に多くの人々に未来への夢や期待を失わせ、生きる力を削いでいるのではないだろうか。
「地球からの知らせ」 キャンバス・アクリル/エッグシェル 216×145㎝
異常気象というべき高温や大型台風、大型ハリケーンが世界の不安感を高めている。その原因は人智の及ばないこともあれば、地球との共存に努力する事で抑えられる可能性もある。
近年の環境変化、特に今年の異常気象は、人類に地球が警鐘を鳴らし、メッセージを送っているのではないかと思われてならない。
地球に生息する生物は変遷を重ねてきた。人類が生息した時代があったと後世の生き物は地球の歴史を振り返ることがあるのだろうか?
人類が滅んだ原因は、異常気象による食糧不足か水不足、または原発の事故による放射能か?そんなことを考えながら、制作した作品です。
「不確かな明日へ」 キャンバス・アクリル/エッグシェル 216×145㎝
日本の民主主義は危機に瀕している。弱者が切り捨てられて、生活格差や教育格差が拡大している。100億で月に行く人もいれば、生活保護費や年金の切り下げに苦悩する人たちもいる。沖縄の基地問題や原発事故、災害被害、日本の社会システムも暮らしを維持する環境も、明日はどうなるのだろうか?
確かな明日が、未来がイメージできない、そんな時代になってしまったのではないか?
突き詰めて考えれば、今の日本は幸せだった日本人を、不幸な日本人へと、変貌させているのではないか?不幸な人が増え続けている。
日本は壊れていく、そんなイメージを「日の丸」をモチーフにして描いてみました。