3700名を超える皆様にご来場、ご高覧頂き、ありがとうございました。天候にも恵まれ、上野公園も賑わっていて、駅前から東京文化会館を抜けるまで、人を避けながら歩く様でした。運慶展、深海展と人気になった展覧会があり、都美術館の企画展「ボストン美術館の至宝展」も人気だったようです。私も観ましたが、入場20分待ちぐらいでした。英一蝶の庶民の生活する姿を描いたり、「涅槃図」に描かれた動物たちに、ボッシュやブリューゲルに通じるものを感じました。英一蝶の作品を観れて良かったです。曽我蕭白のダイナミックな表現で強風が吹き荒れている「風仙図屏風」スカッとした気分にさせてくれました。そういう展覧会に来た人たちも汎美展に足を運んでくれたようです。加えて、今回から会期が一期早まり、2階に一室展示の絵画展系の展覧会が集まったことも、観客動員の相乗効果になったようです。
さて、今回の私の出品作です。今まで汎美の春秋二回の展覧会に合わせ、テーマを決め、新しい表現を目標に作品制作してきました。その中で、その表現でもう少し色々と可能性を追求してみたいとか、不満足な部分を残した物であったり、ああすれば良かったなど、そういう思いを残してきました。そこで今回は、過去に戻り、やり残したと考えてきたことをやってみました。そして、インターネット放送やラジオを聞かない。瞬間に入ってくる情報を遮断して作品制作することにしました。過去に国会の委員会中継を聴きながら作品の構想を練っていて、「二枚舌の人々」になったり、今回のテーマにした「記憶されない記憶」になったりしました。
「記憶されない記録」は、安倍政権は日本の歴史を正しく理解し、顧みることもなく、敗戦前の日本を強き美しき国と抽象化し、国旗を振り回しているように思えて、作った「Memory」(M150号)という作品があります。
それと「記憶されない記録」という作品からの展開です。F30で4点出品しました。
次に、「断片化された光の記憶」のシリーズです。今回は「空」「地」「火(passion)」それに「秋」のF30号を4点出品しました。曼荼羅で言う世界を構成する基本五要素「空風火水地」をテーマにし、描いて来ました。例えば「地」ですが、記憶されている大地や草原、水たまり等々、日本だったり、中国、インドなど色々なところから色、光を紡ぎ出して、キャンバスに定着させています。今回は少し進化して、「秋」では一地点の記憶されている光で構成しました。パリのコンコルド広場からルーブルにかけてのチェルリー公園の踏みこまれた枯葉が侘びしい色合いを醸し出していた地です。そういう方向での作品制作も面白そうだと思っています。
「空」
「地」
「火(passion)」
「秋」
はっきりとコンセプトを記載して作品が完成してその過程が興味深く思います。岩橋格
いいねいいね