今回も気になった作品を紹介します。
古い友人の塩沢慎介さんの「温羅・鬼ノ城」をテーマにした作品です。温羅は百済の皇太子で、新羅との戦いに敗れ、製鉄など進んだ技術を持って、日本に落ち延び、岡山県・総社市に鬼ノ城を築城した。7世紀の設立間もない大和朝廷は、優れた技術で勢力を拡大しそうな温羅を恐れ、討伐した。それが悪い鬼退治の桃太郎の話になり、また、あらゆる記録、歴史からは抹消されてきたということに興味を抱き、今回描いたとのこと。
多摩美の先輩の三竹康子さんの「群 2014-佇む」です。紙粘土でマチエールをつくり、レリーフのような表現になっているのが面白いと思いました。淡い色調ですが力強い魚の群れが表現されていると思います。
今回初出品で、武蔵美を2年前に卒業した山下奈々さんの「すがる」です。若いアーチストが自分たちの表現を追求していく場になれば良いと思います。
外海文武さんの「Drop Ⅰ」です。一瞬の表情、しぐさをとらえた子供の姿が、工夫された画面構成でインパクト強く迫ってきます。
西寄寿美さんの「大海へ Ⅰ,Ⅱ」です。ダイナミックなクジラと遊ぶ子供たちへの鎮魂歌ですね。
大谷敏江さんの「ふれあい 2」です。空間を自由に動き回る曲線が、楽しいふれあいの世界を創っていると思いました。
田島章廣さんの「未来へ」です。グレーの世界に朽ちていきそうな白い家が印象的でした。未来へというタイトルから、いろいろと想像を巡らせました。
岡澤みさをさんの「赤い街 F」です。リハビリの効果で、絵筆は持てるようになり、絵画制作と絵画教室での指導を復活したとのこと。
続く